「うちの家族が要支援1と言われたんだけど、要支援1って一体どんな感じなのか全然ピンとこない…」
「要支援1になったら、どんなサポートが受けられるのか気になる」
自分や家族が要支援・要介護認定を受けた時、いろいろ疑問が湧いてきますよね。この制度について詳しく知らないと、戸惑うことも多いんじゃないでしょうか。
介護のプロでないと、要支援・要介護の仕組みってなかなか理解できないですよね。そこで、今回は要支援1に焦点を当てて、わかりやすくお話しします。
要支援1とはどんな状態なのか、どんなサービスが受けられるのか、要支援2との違いは何かなど、要支援1に関する情報を詳しくお伝えします。
要支援1の認定を受けた方やそのご家族の方は、これを読んで参考にしてみてください。
目次
要支援1とは
「要支援1」とは、「要介護認定」の中で一番軽い段階です。
厚生労働省のデータによれば、全国で要支援1の人は約9万6千人で、要介護の人全体の14%を占めているそうです。実際、要支援とは介護が絶対必要なわけではありません。しかし、日常生活の中でちょっとしたサポートが必要となります。
たとえば、ご飯を食べたりトイレに行ったりは基本的に一人でできるけど、家事や身の回りのお世話は、ちょっとした手助けや見守りが必要な場面がある状態です。要支援1でも身体の衰えが少しあって、立ち上がるときに手助けが必要になることがあります。
要支援1と要支援2の違い
要支援1と2は、基本的に食事や入浴、排泄など、日常の生活はほぼ自分で行えるけれど、ちょっとしたサポートが必要な状態が共通しています。
要支援1の場合、立ち上がったり片足で立ったりする時など、少し複雑な動作が絡むと、支えが必要になります。また、掃除などの家事をする際にも、見守りや手助けが必要です。
要支援2は、要支援1と比べると、自分で動作を完結できることが少なくなります。入浴時に一部介護が必要だったり、両足で歩く際にも支えが必要とされる点が大きく異なります。
自立と要支援1の違い
自立と要支援の状態の違いは、日常生活動作における能力の差にあります。自立の方は歩行や起き上がり、薬の内服や電話など、生活動作を自分で行うことができますが、要支援の場合はどこかしらのサポートが必要になります。歩行や立ち上がり時に介助が必要だったり、家事の際に見守りが必要だったりします。
要支援1で受けられるサービスは?
介護保険サービスは、介護度によって受けられるサービスが違うことがあります。要支援1で受けられるサービスは以下の通りです。
- 介護予防訪問入浴介護
- 介護予防訪問リハビリテーション
- 介護予防訪問介護
- 介護予防居宅療養管理指導
- 介護予防通所リハビリテーション(デイケア)
- 介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)
- 介護予防入所療養介護(医療型ショートステイ)
- 介護予防特定施設入所者生活介護
- 介護予防福祉用具貸与
- 特定福祉用具販売
各サービスについて詳しく説明していきます。
施設に通って受けるサービス
施設に通って利用するサービスには、いくつか種類がありますよ。
一つ目は、「介護予防通所リハビリテーション」。介護予防を目的に、介護老人保健施設や病院、診療所などに通って、理学療法や作業療法、その他の必要なリハビリを受けることができます。デイケアサービスとも呼ばれてますが、これは要介護状態にならないように予防するためのサービスです。
そしてもう一つは、「介護予防認知症対応型通所介護」。これは、軽度の認知症がある方が、介護予防を目的に通所介護(デイサービス)事業所などに通って、入浴や排泄、食事などの介護や、生活に関する相談、健康状態の確認、機能訓練などを提供してくれるサービスです。
自宅で受けるサービス
一つ目は、「介護予防訪問入浴介護」。これは、自宅の浴槽で入浴が難しい方に対して、入浴車を使ってご自宅を訪れ、看護師やホームヘルパーが入浴の介護を行うサービスです。
そしてもう一つは、「介護予防訪問看護」。これは、介護予防を目的に医師の指示に基づき看護師がご自宅を訪問し、健康チェックや療養上のサポートを提供するサービス。
最後に、「介護予防訪問リハビリテーション」。これは、医師の指示に基づき理学療法士や作業療法士がご自宅を訪れ、心身機能の維持回復や、日常生活の自立をサポートするリハビリテーションを行うサービスです。
自宅での暮らしを支えるサービス
まず一つ目は、「介護予防居宅療養管理指導」。これは、自宅で療養していて通院が難しい方に対して、医師や歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などが訪問して、療養上の管理や指導、助言を行うサービス。
そしてもう一つは、「介護予防福祉用具貸与」。これは、介護予防に効果があると厚生労働大臣が定めた福祉用具をレンタルできるサービス。手すりやスロープ、歩行器など、日常生活をサポートするアイテムが揃っています。
また、「特定介護予防福祉用具販売」では、貸与に適していない介護予防用具を購入できるんです。例えば、腰掛便座や入浴補助用具、簡易浴槽などがあります。これらのアイテムは、ご利用者の自立支援や介護者の負担軽減に役立ちそうですね。
最後に、「介護予防住宅改修費支給」。これは、住み慣れた自宅で生活を続けるために介護保険を使って住宅を改修するサービス。例えば、手すりを階段や玄関、廊下、浴室、トイレなど必要な場所につけることで、日常生活がより安心して送れます。段差を除去することで、移動がスムーズになり、生活の負担が減ることも期待できます。
短期宿泊するサービス
「介護予防短期入所生活介護・介護予防短期入所療養介護」は、特別養護老人ホームなどの施設に、ご家族などの事情で一時的に入居することができるサービスです。
「介護予防短期入所生活介護」では、介護予防を目的に入浴、排泄、食事などの介護を受けることができます。短期的な滞在でありながら、日常生活のサポートが受けられるのは心強いですね。
一方、「介護予防短期入所療養介護」では、介護予防を目的に入浴、排泄、食事などの介護だけでなく、リハビリテーションも受けることができます。療養が必要な場合でも、期間限定で施設でのサポートを受けることができるのはありがたいですね。
このような「介護予防短期入所生活介護」「介護予防短期入所療養介護」は、俗に言う「ショートステイ」とも呼ばれています。短期間だけでもサポートを受けることで、ご自身やご家族の介護の負担を軽減でき、気持ちの面でも安心感がありそうですね。
地域密着型サービス
地域密着型サービスとして、「介護予防小規模多機能型居宅介護」があります。
このサービスは、通所サービスを中心に、利用者の選択に応じて訪問や泊まりのサービスを組み合わせ、食事の介護、入浴、排泄などの日常生活の支援から機能訓練などのリハビリまで、多機能なサービスを受けることができます。
介護保険サービスを利用する流れ
要支援1の方が介護保険サービスを利用するためには、介護予防ケアマネジメントと呼ばれる支援を受けながら、介護予防サービス支援計画をたてる必要があります。
この介護予防ケアマネジメントを担うのが、地域包括支援センターです。ここでは、介護予防ケアマネジメントを行うケアマネジャーが配置されており、相談することで介護サービスの利用支援が受けられます。
ケアマネジャーは通常、一度自宅を訪問し、身体状況や生活環境などを観察しながら、その人に合わせた支援計画を立ててくれます。この段階で、自分の生活スタイルに合ったサービスを受けるための準備が進んでいきます。
また、要介護認定を受けていない状態であっても、地域包括支援センターに相談すれば、介護認定の申請からサービス利用までの一連の手続きにおいてもサポートが受けられます。これによって、本人の状態に合ったサービスをスムーズに受けることができます。
要支援1の介護予防サービス費用
要支援1の方々には、介護保険から給付される1ヵ月あたりの上限額、つまり区分支給限度基準額が決まっています。これは、月額50,320円分に相当します。
この区分支給限度基準額内でサービスを利用する場合は、原則としてかかった費用の1~3割(本人や世帯の経済状況による)を利用者が負担します。つまり、一定の範囲内では自己負担が発生しますが、その額は利用者自身や家庭の経済状況に応じて変動します。
ただし、この制度の特徴として、区分支給限度基準額を超える部分に関しては、サービス利用者が全額を自己負担しなければなりません。支給の範囲を理解し、予め負担の見積もりをしておくことが、財政面での安心感を生むポイントと言えるでしょう。
施設に入所したときの費用の相場
要支援1の認定を受けた方が介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホームに入居する場合、月額費用は介護保険の1割負担額と入居先の月額費用を合算して計算されます。ざっくりとした目安として、おおよそ月額20万円前半ほどになるでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅やグループホームの場合、月額費用はおおよそ13〜15万円が目安です。これは、利用するサービスや施設によっても異なりますので、実際の契約前に詳細な説明を受けることが重要です。
特定施設入居者生活介護サービスが適用される介護付き有料老人ホームなどは、定額制度がありますが、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなどは個別に介護サービス事業者と契約を結び、利用したサービスに応じた料金が発生します。契約前に十分な説明を受け、納得した上での契約が大切です。
介護サービス費用 (1割負担の場合) | 月額費用相場 | 合計(目安) | |
---|---|---|---|
介護付き 有料老人ホーム | 5,460円 | 200,000円 | 205,460円 |
住宅型 有料老人ホーム | 5,032円 | 200,000円 | 205,032円 |
サービス付き 高齢者向け住宅 | 5,032円 | 150,000円 | 155,032円 |
要支援1で入居できる介護施設
要支援1の段階でも、少しの支援が必要な時期かもしれません。自宅での一人暮らしは心細く感じることがありますし、家族が介護に苦しんでしまうこともあるでしょう。そんな時、施設入居は安心感があります。プロのスタッフが日常的なサポートを提供してくれるので、安心して生活することができます。施設でのサポートがあれば、少しの不安も軽減されそうですね。
有料老人ホーム
有料老人ホームには、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、そして健康型有料老人ホームなど、いくつかの種類があります。これらの施設では、介護や食事、家事、健康管理などのサポートを受けながら生活ができます。ただし、それぞれの施設には異なる特徴や入居条件がありますので、利用を考える際には様々な条件を検討して、自分に合った施設を選ぶことが重要です。生活の質を向上させるために、検討が必要です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅、通称「サ高住」は、高齢者が快適に生活できるように広々とした設備や機能が整った賃貸形式の住まいです。安否確認や生活相談サービスが提供され、昼間には介護や医療に資格を持つスタッフが常駐している場合もあります。
こうした住宅には、主に要支援または要介護度が軽い高齢者が住んでおり、基本的には介護サービスが提供されていません。介護が必要になった場合は、外部の介護サービス業者と契約することになります。
一方で、「介護型」と呼ばれるサ高住も存在し、こちらでは専門のスタッフが常駐して介護サービスを提供しています。将来的に介護度が高まっても安心して生活できるメリットがあるので、選択肢として考えてみると良いでしょう。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)
ケアハウス(軽費老人ホームC型)は、自立生活が難しい方々を対象に、食事・洗濯・掃除などの生活支援が提供される施設です。この施設では、夫婦での入居も可能で、どちらかが60歳以上であれば利用ができます。また、65歳以上かつ要介護1以上の方を対象とした介護型ケアハウスも存在し、生活支援に加えて介護サービスも利用できます。
料金については、所得に応じて減額されるケースもあり、比較的リーズナブルに入居することができます。これにより、経済的な面でも安心して利用できる点が、多くの方にとって魅力的な要素となっています。
シニア向け分譲マンション
シニア向け分譲マンションは、主に自立または要介護度の軽い高齢者が快適に生活するための、バリアフリー設計が施されたマンションです。
このタイプのマンションには食堂やプール、ジムなどが併設されており、生活をより豊かにするための様々な設備が整っています。一方で、介護が必要になった場合には、一部のマンションでは外部の業者と提携してサービスを利用できることも特徴の一つです。また、所有権を持つため、将来的には資産として売却することもでき、家族に譲渡・相続することも可能です。
ただし、入居時の費用や月々の管理費などは高額になることがあります。これは通常の分譲マンションよりも手厚いサービスや施設が提供されているためです。単なる「施設」というよりも、一般的な分譲マンションと同じようなイメージで考えると分かりやすいでしょう。どのような生活スタイルが自分に合っているか、検討する際に大切なポイントです。
要支援1でも一人暮らしはできる?
要支援1は、要介護認定の中でも状態が比較的軽く、自分でできることが多いため、一人暮らしも十分に検討できる場合がありますが、まずはケアマネジャーなどの専門家と相談することがおすすめです。
しかし、今まで通りの生活を続けていると、加齢に伴い筋力が低下してしまう可能性があり、身体能力が衰えることが懸念されます。介護度が進まないように、早い段階から将来に備えて体制を整えることが重要です。
社会との繋がりを保ちながら、住み慣れた自宅でより長く快適に暮らすために、介護サービスを有効に活用しましょう。
ただし、介護が必要となっているサインは本人も家族も判断が難しい場合が多いです。定期的な健康チェックや専門家のアドバイスを受けながら、早めの対策やサポートを検討することが、将来への備えとなります。
要支援1のヘルパーの利用回数
介護予防訪問介護(ホームヘルパー)では、要支援1の場合、週に1~2回の利用が可能です。
ホームヘルパーを利用する際の利用時間には明確な制限はありませんが、一定の時間を超える場合には、多くのサービス事業者で追加料金が発生します。
ヘルパーの利用は週に2回まで
要支援1の方がヘルパーの利用を考える場合、週に2回までという制限があります。
週に3回の利用は、要支援2の方に限られています。これには、2017年3月までの「介護予防訪問介護(ヘルパー)」が国が制定し、都道府県や政令指定都市が管理していましたが、2017年4月からは「介護予防・日常生活支援総合事業」として市区町村単位で管理されるようになった経緯があります。
以前は介護予防訪問介護の回数は区分支給限度基準額内で個別に決められていましたが、現在は市町村ごとに独自のルールを定め、週に2回までの利用制限となっています。利用回数に応じて月額料金が発生するため、注意が必要です。自治体ごとに異なる規定があるので、地域において利用制限を確認することが大切です。
ヘルパーの1回あたりの利用時間
ヘルパーの1回あたりの利用時間には明確な制限はありません。ただし、要支援1の方が訪問介護を受ける場合、主な目的は日常生活の援助であり、掃除や洗濯、調理などの日常の行為ができなくならないようにサポートすることが中心です。代行ではなく、サポートが中心なので、1回の利用で長時間を利用することはあまり現実的ではありません。
統計によれば、要支援・要介護1の方の利用時間の割合は、「30分以上1時間未満」が4割、「1時間以上1時間半未満」が2割強、「1時間半以上2時間未満」が3割程度となっています。ただし、これはあくまで平均的な傾向であり、お身体の状態や生活状況によって異なります。ヘルパーの利用を検討する際は、これらの要素を考慮して利用回数や時間を調整することが大切です。
また、施設への入所を検討している場合は、ケアスル介護が便利です。ケアスル介護では、入居相談員がその場で条件に合った施設を教えてくれるため、希望に合った施設探しがスムーズに行えます。
ホームヘルパーの利用を検討する際には、利用回数や時間を考慮し、自身の生活スタイルに合わせて柔軟に利用することが大切です。介護予防において、自分の生活に合ったサポートを上手に取り入れていくことが大切ですね。
要支援1のヘルパーの利用料金
問介護(ホームヘルプ)の基本的な利用料金は、サービスの内容や利用時間、住んでいる地域が属する地域区分(1級地~7級地、その他)などによって異なります。
要支援1の方がホームヘルプを利用する場合、公的介護保険が適用されるため、利用者負担は介護サービスにかかった利用料金の1割(所得によっては2割または3割)となります。しかし、具体的な負担割合は市区町村の負担割合証で確認する必要があります。これにより、サービスの実際の負担が分かりますので、市区町村が発行した負担割合証を確認してください。
利用料金の基本的な目安は、以下の表の通りです。利用料金はサービスごとに設定された単位に、1単位当たりの単価をかけて算出されます。1単位当たりの単価は地域によって異なるため、ここでは1単位10円として利用料金を算出しています。
以下の利用料金はあくまで目安であり、実際にかかる利用料金については、訪問介護(ホームヘルプ)の事業所にお問い合わせしてみてください。自分の地域やニーズに合った正確な情報を得ることが大切です。
単位 | 利用料金 | 自己負担額 | ||||
1割 | 2割 | 3割 | ||||
身体介護 | 20分未満 | 167 | 1,670円 | 167円 | 334円 | 501円 |
20分以上30分未満 | 250 | 2,500円 | 250円 | 500円 | 750円 | |
30分以上1時間未満 | 396 | 3,960円 | 396円 | 792円 | 1,188円 | |
1時間以上1時間半未満 | 579 | 5,790円 | 579円 | 1,158円 | 1,737円 | |
生活援助 | 20分以上45分未満 | 183 | 1,830円 | 183円 | 366円 | 549円 |
45分以上 | 255 | 2,550円 | 255円 | 510円 | 765円 | |
通院等乗降介助 | 1回あたり | 99 | 990円 | 99円 | 198円 | 297円 |
加算される料金
利用料金に加算されるケースがあります。例えば、初回加算、夜間や早朝、深夜の場合の加算、そして緊急時の訪問介護加算が該当します。
初回加算は、初めて訪問介護(ホームヘルプ)を利用する際に発生します。1カ月につき200単位で、1単位10円の場合、1割負担で200円に相当します。
夜間(18時から22時まで)や早朝(6時から8時まで)に訪問介護(ホームヘルプ)を利用する場合、基本料金に対して25%の加算があります。
深夜(22時から翌6時まで)に訪問介護(ホームヘルプ)を利用する場合、基本料金の50%が加算されます。
緊急時に訪問介護(ホームヘルプ)を利用する場合、1回につき100単位が加算されます。1単位10円の場合、1割負担で100円に相当します。
これらの加算料金は、実際の利用状況によって発生します。加算がある場合、正確な情報を把握し、予め理解しておくことが大切です。
まとめ
要支援1は、要介護の中でも最も軽度で、介護の負担もそれほど大きくはありません。しかし、無理をせずに、介護予防サービスを利用して本人や介護者の負担を軽減することが大切です。日常生活で少しでも不安を感じる場合は、要支援1の段階から介護施設を利用することも一つの方法でしょう。特に、介護施設では安心して生活できるサポートが得られるため、自分や家族の状態に合わせて検討することが重要です。