気になる要介護3の状態。在宅介護は無理?一人暮らしはできる?要介護4との違いやデイサービスの料金など解説

「うちの親が要介護3に認定された。要介護3って、具体的にどういう状態なんだろう?」

「要介護3って、何か特別なサービスが受けられるの?」

要介護の段階にはいくつかありますが、その中でも3番目の段階、要介護3がどんな状態なのか気になりますよね。

要介護3になると、多くの介護サービスを受ける必要が出てきます。そして、要介護3というのは、施設に入ることも考えるべき段階だそうです。

そこで、この記事では、要介護3になった人がどんなサービスを受けられるのか、費用はどのくらいか、そして施設に入るときの選択肢などを紹介します。

要介護3とは

両手に杖をもって歩くおじいさん

要介護3とは、日常生活の中で介助が必要な状態のことです。例えばお風呂に入ったりトイレに行ったり、着替える時もサポートが必要な状態です。また、足腰も不安定で、自分で立ち上がるのも難しくなってきます。

厚生労働省の定義では、要介護は「常時介護を必要とする状態」とされています。要介護は1から5の段階に区別され、数字が大きくなるほど、より長い時間介護が必要な状態を指します。

要介護2との違い

要介護3になると、身体的な衰えが2よりも進んでて、立ち上がったり歩いたりすることも自分ではできません。なので、要介護3では、着替えなど、2では手伝ったり見守ったりしていたことにも介助が必要になってきます。

それに、理解力も低下してきます。要介護3になると、家族が自宅で介護することに不安を感じたり、専門的な介護が必要だと判断したりして、施設に入居させるケースが多くなるようです。

要介護4との違い

要介護3では、たとえば手助けなしで何とかできることもあありますが、要介護4になるとほぼ日常生活の全てに介護が必要になります。要介護4になると、立ち上がったり歩いたりすることだけでなく、立っていること自体が自分の力ではできなくなります。

それに、要介護4では、要介護3よりも理解力の低下が見られることもあり、問題行動があるといつも介護者が側にいないといけないこともあるそうです。そのため、要介護4の人は施設に入居することが多いです。

要介護4の特徴として、介護療養型医療施設に入居する場合も多いそうです。

要介護3で受けられるサービスは?

自宅で受けるサービス

訪問介護」とは、自宅にホームヘルパーが来てくれて、食事や入浴、トイレなどの身体の手助けをしてくれます。さらに生活のお手伝いとして、家の掃除やゴミ捨て、買い物や洗濯なども頼むことができます。

訪問入浴介護」とは、特殊な浴槽を持ってご利用者の自宅までやってきて、入浴のお手伝いをしてくれるサービスです。ホームヘルパーや看護師など、専門のスタッフが訪問し、事前に準備した特殊な浴槽を使って入浴のサポートをしてくれます。

訪問看護」とは、看護師がご利用者の自宅に訪問して、医療的なケアや診察の手伝いをするサービスです。ご利用者の病気や状況に応じて、適切な看護を行います。

訪問リハビリテーション」とは、リハビリの専門家である理学療法士や作業療法士、言語聴覚士がご利用者の自宅に訪問し、医療の補助や心身機能の維持・回復、日常生活の自立を支援するリハビリテーションを行うサービスです。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、日中や夜間を問わず、訪問介護と訪問看護が一緒に、または密接に連携しながら、定期的な訪問とナースコールによる随時通報への対応を行うサービスです。24時間いつでも専門家に連絡や相談が可能であり、定額で利用できる点が特徴です。

施設に通って受けるサービス

通所介護(デイサービス)」は、通所介護(デイサービス)施設に通い、日帰りで食事や入浴などの日常生活の支援や、機能訓練を受けることができるサービスです。また、通所介護(デイサービス)への送迎は、通常は事業者が用意した車で行われます。

通所リハビリテーション(デイケア)」は、介護老人保健施設や病院、診療所などに通って、理学療法士や作業療法士などの専門スタッフによる、身体機能の維持や生活機能の向上を目指したリハビリテーションを受けられるサービスです。一般に「デイケアサービス」とも呼ばれています。このサービスは、要介護状態の悪化を防ぐか、さらなる悪化を防ぐことを目的として提供されています。

認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)」は、認知症のある方が通所介護(デイサービス)施設などに通って、入浴や食事の支援、生活に関する相談、健康状態の確認、機能訓練などのサービスを受けることができるサービスです。通常のデイサービスよりも少人数で行われることが特徴です。

施設に宿泊して受けるサービス

短期入所生活介護(ショートステイ)」は、数日から最長30日間までの短期間、福祉施設に入居できるサービスです。施設に入居すると、入浴や排泄、食事などの介助や見守りなどのサービスを受けることができます。

要介護3で利用できる福祉用具

  • 車いすおよびその付属品
  • 介護用ベッドおよびその付属品
  • 床ずれ防止用具
  • 体位変換器
  • 手すり
  • スロープ
  • 歩行器
  • 歩行補助つえ
  • 認知症老人徘徊感知器具
  • 移動用リフト(つり具の部分を除く)

福祉用具を購入するよりもレンタルした方が、費用を安く抑えられます。要介護3になると、いろんな福祉用具がレンタルできます。でも、ただ何でもレンタルすればいいというわけではありません。

本人の住んでいる場所や体の状態に合わせて、適切な福祉用具を選ぶことが大切です。

要介護3でかかる費用

積まれたコインの山が5つ

要介護3の支給限度額

要介護3の場合、介護保険から給付される月額の上限額(支給限度額)は2023年6月時点で270,480円です。

この支給限度額内で介護サービスを利用する場合、利用者は費用の1割を負担します(一定以上の所得者の場合は2割または3割)。支給限度額を超える分については、利用者が全額負担することになります。

支給限度額内でサービスを受けるためには、どれくらいの頻度でサービスを利用するかが重要です。

介護保険でおむつ代は支給される?

まず介護にかかるおむつ代ですが、介護でおむつを使用した場合、1日に4~5回程度の交換が必要とされています。一般的に、おむつ1枚当たりの費用は50~100円程度です。したがって、1日当たりの費用は200~500円程度になります。

1カ月での費用に換算すると、6,000円~15,000円程度になります。

介護保険では、おむつ代の支給はされませんが、市区町村が実施している「紙おむつ給付およびおむつ代助成制度」があります。

この制度は、自治体による高齢者福祉サービスの一環であり、要介護認定を受けたり、医師が紙おむつの必要性を認めたりする条件があります。

例えば、東京都大田区では、次のような条件があります:

  1. 要介護3~5の認定を受けている
  2. 要介護1もしくは2の認定を受け、医師が紙おむつの必要性を認めている
  3. 65歳以上で病院に入院しており、要介護1もしくは2に相当する状態にあり、紙おむつを必要とする

ただし、具体的なサービス内容は自治体によって異なるので、詳細は各自治体の情報を確認する必要があります。

要介護3で入居できる介護施設

「要介護3」では基本的に24時間の介護が必要とされるため、家族の負担が大きくなります。このため、施設入居を選択する方が増えています。特に、入居費用が比較的安く、人気のある施設として、「特別養護老人ホーム(特養)」が挙げられます。ここでは要介護3で入居できる施設を紹介します。

介護付き有料老人ホーム

介護付有料老人ホーム(介護付きホーム)は、主に介護を必要とする方が入居し、食事、入浴、排泄などの介助や、専門スタッフによる機能訓練などの支援を受けながら、日常生活を送ることができる施設です。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、自立から軽度の要介護者が入居し、食事の提供や掃除、洗濯、健康管理などの生活上のサポートを受けられる施設です。また、必要に応じて介護サービスも利用できます。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者住まい法に定められた施設で、単身または夫婦世帯の高齢者が入居できる賃貸住宅です。段差の解消や手すりの設置など、高齢者の安全を考慮した設計がなされており、一人当たりの床面積は原則として25平方メートル以上となっています。また、生活相談サービスなど、ケアの専門家による支援も利用できます。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、自宅での生活が難しい要介護3以上の方が入居できる施設です。入居者の多くは認知症のある方や重度の要介護状態の方です。この施設では、食事、入浴、排泄などの介助が提供されます。さらに、更衣や口腔ケア、清拭(身体を拭いて清潔に保つ)などのサービスも受けられます。

グループホーム

グループホームは、要介護3の方も入居できる施設で、小規模で家庭的な雰囲気が特徴です。入居者は他の入居者や介護職員との関わりを持ちながら、共同生活を送ります。ただし、認知症と診断された方や、施設と同じ市区町村に住民票がある方以外は、入居することができません。

介護老人保健施設

介護老人保健施設(老健)は、要介護1以上の方が利用できる施設で、自宅復帰のためのリハビリテーションだけでなく、食事や入浴、排泄などの介護サービスも受けられます。多くは病院に併設されており、医療体制が整っていることが特徴です。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は、長期療養と常時の介護が必要な方が入居する施設です。ここでは、医療的処置、リハビリテーション、日常生活上の介護などが提供されます。特別養護老人ホームや介護老人保健施設に比べて、より充実した医療環境が整っています。

ケアハウス

ケアハウス(軽費老人ホーム)は、ご家族からの援助が得られないなどの理由で、自宅での生活が困難な方が入居する施設です。ここでは、入浴や栄養バランスを考慮した食事の提供や、多彩なレクリエーション活動が行われます。また、掃除や洗濯などの日常生活の支援も提供されます。

要介護3のデイサービスの利用回数

要介護3の方がデイサービスを利用する回数は、週に4~5回です。

通常、介護度に応じて設定された区分支給限度基準額内であれば、介護保険を利用することができます。それを超える場合でも、自己負担で利用できます。

要介護3のデイサービスの利用料金

要介護3のデイサービスの利用料金は、おおよそ1回あたり9,000円程度です。介護保険の適用により、自己負担割合が1割の場合は約900円、2割の場合は約1,800円程度で利用できます。

ただし、デイサービス内でリハビリテーションや入浴介助を受ける場合は、個別機能訓練加算や入浴介助加算が料金に加算されます。

また、食事やおやつ、レクリエーションなどの費用は全額自己負担となります。

そのため、自己負担割合が1割の場合でも、要介護3の状態では1日当たり1,500〜2,000円程度と考えて良いでしょう。

要介護3の在宅介護は無理?

要介護3とは、24時間常に介護が必要な状態を指します。

では、在宅介護は現実的ではないのでしょうか?

結論から言うと、介護者がいる場合でも要介護3の在宅介護は可能です。

ただし、要介護3の在宅介護を行う際には、通所介護やショートステイ、訪問介護・看護のサービスを利用しても、働きながら在宅介護を続けることは非常に難しいです。実際、介護者が離職を余儀なくされるケースも多く見受けられます。

介護者は常に見守る体制を維持する必要があり、その負担やストレスは大変なものです。そのため、多くの方が施設への入居を検討されています。私自身も、働きながら親の介護をすることの難しさを痛感し、施設入居を考えることが多々あります。

要介護3でも一人暮らしはできる?

要介護3での一人暮らしは、通常は容易ではありませんが、不可能とは限りません。

要介護3の状態では、食事や排せつ、入浴、着替えなどの日常生活動作に全面的な介護が必要となります。さらに、認知症による徘徊などの症状も見られるため、常に介護が必要とされます。

一般的に、要介護3の方は家族と同居したり、特別養護老人ホームなどの施設に入居することが一般的です。

しかし、自宅での一人暮らしを希望する場合もあります。この場合、家族のサポートを受けながら介護保険サービスを活用することが重要です。

介護保険サービスには、訪問型や通所型(デイサービスやデイケア)、短期入所型(ショートステイ)などがあります。これらを組み合わせて、一人暮らしを支援することができます。

一人暮らしを希望する場合は、ケアマネジャーなど専門家に相談し、適切なサービスを利用することを検討しましょう。

要介護3の在宅介護を無理なく続けるコツ

要介護3の親を自宅で介護する際、心身ともに大きな負担を感じることがあるかと思います。特に要介護3の状態では、日常生活の多くの面で介助が必要となりますが、さまざまな支援を上手に活用することで、無理なく介護を続けることが可能です。ここでは、自宅介護をより快適に続けるためのコツをご紹介します。

1. 介護サービスを最大限に活用する

介護保険制度では、要介護状態の方が自宅で生活を続けるために、多くの介護サービスが提供されています。要介護3の場合、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどのサービスが利用可能です。これらのサービスを積極的に活用することで、介護者の負担を軽減し、自宅での生活を継続しやすくなります。これらのサービスをうまく利用することで、家族の介護の負担が軽くなります。

2. 住宅改修で生活環境を整備する

要介護3の方が自宅で快適に過ごすためには、住宅改修を検討することが重要です。介護保険を利用して、手すりの設置や段差の解消、滑りにくい床材への変更などを行うことで、安全で快適な生活環境が整います。これにより、転倒のリスクを減らし、自立した生活を送りやすくなります。介護保険制度を利用すれば、費用の1〜3割の負担で済むので、費用面でも大きな負担にはなりません。また、自治体によっては独自の助成制度もありますので、工事を始める前にケアマネジャーや地域包括支援センターに確認してみると良いでしょう。

3. かかりつけ医やケアマネジャーなど相談相手をつくる

自宅で介護を続ける際には、信頼できる相談相手を持つことが大変重要です。かかりつけ医やケアマネジャー、地域包括支援センターなどの専門家が相談相手となることで、医療や介護に関する不安や疑問に適切なアドバイスやサポートを受けることができます。例えば、食欲の低下やむせることが多くなった場合、また夜間のトイレが増えた場合など、さまざまな問題が発生することがありますが、専門家と相談することで、適切な対応策が見つかります。私も、こうした専門家のサポートを受けることで、安心して介護を続けることができています。

これらのコツを実践することで、自宅での介護を無理なく続けるための支援となるでしょう。介護における負担を軽減し、親も介護者もより快適な生活を送るための一助になれば幸いです。

要介護3についてまとめ

赤いジャケットを着た人

要介護3の方は、日常生活全般に介護が必要なため、要介護1や要介護2と比べて介護時間が多く必要です。在宅介護では、同居家族がいても介護に専念することは難しく、身体的・精神的な負担も大きくなります。一人で介護を背負い込まず、訪問介護やショートステイなどのサービスを活用しましょう。在宅介護が難しい場合は、施設入所も検討の一つです。ケアマネージャーと相談し、本人や家族の状況に合わせたケアプランを作成することが大切です。

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