年齢とともに気になる頻尿トラブル その原因と頻尿対策

年齢を経るにつれ感じてくる尿の近さ。なかには夜中に頻繁に起きたり、外出中もトイレが近くにないと不安になったりする人もいるのではないでしょうか。日常生活で不便に感じる前に、なにか対策をしたいですよね。

今回は頻尿が気になる人のために、具体的な症状や対処法についてご紹介します。

頻尿とは

便器のふちに木製の人型人形が座っている

頻尿とはどんな症状を指すのでしょうか。ここでは頻尿の定義や分類について説明します。

頻尿の定義

「尿が近く、トイレの回数が多い」という症状を頻尿といいます。一般的な頻尿の定義は、起きてから寝るまでに排尿した回数が8回以上といわれています。

しかし回数は個人差があるため、すべての人が定義に当てはまるわけではありません。たとえ排尿回数が8回以下でも、以前よりも増えているなら頻尿の疑いがあります。正確に判断するためには、医療機関で診てもらうことが一番です。

昼間頻尿と夜間頻尿に分かれる

頻尿の症状はおもに「昼間頻尿」と「夜間頻尿」の2つに分かれます。先ほどの定義で述べた「寝るまでの排尿回数が8回以上」が当てはまる場合は、昼間頻尿です。寝ているあいだにトイレで起きる回数が1回以上であれば、夜間頻尿といえます。1回起きるだけなら、まだ生活に大きな影響はありません。しかし起きる回数が次第に増えていくと、睡眠不足につながり日中の活動にも支障をきたすでしょう。

頻尿の原因

洋式便器

頻尿には複数の原因がありますが、以下の2つに大きく分類できます。

  • 生活習慣からくるもの
  • 疾患からくるもの

ここでは2つの原因について深堀して説明します。

頻尿を引き起こす生活習慣

生活習慣で起きやすい原因を紹介します。

水分のとりすぎ

水分をとりすぎると尿量が増えて、結果的に頻尿となります。冬場の乾燥や夏場の熱中症対策のための適度な水分摂取は望ましいですが、とりすぎるのもかえって危険です。またコーヒーや緑茶といった利尿作用のあるカフェインを含んでいる飲み物も、頻尿となりやすいため注意しましょう。

体温の低下

人は体温を調節するときに、熱や水分(汗)を身体から放出します。しかし体温が下がると熱や水分が出ないため、その分尿量が増えて頻尿となります。また寒さで膀胱の筋肉が収縮しやすくなるため、より尿意を感じてしまうのです。冬の時期に頻回にトイレに行く人は、体温の低下が原因かもしれません。

加齢による身体機能の低下

加齢による身体機能の低下が、頻尿の原因となることもあります。膀胱が小さくなったり、尿意をガマンできなかったりすると、自然とトイレに行く頻度が多くなるでしょう。その他にも尿を濃縮するはたらきのある腎臓が悪くなると、尿量が増えてしまいます。

緊張状態

緊張していたり、不安を抱えていると、頻尿になることがあります。このような状況での頻尿は多くの人が経験するもので、特に心配する必要はありません。

頻尿を引き起こす疾患

トイレットペーパーが壁一面に積み重なっている

頻尿の原因となりやすい3つの疾患を紹介します。

過活動膀胱

過活動膀胱とは、その名前のとおり、膀胱の過剰な活動が原因で起こる疾患です。尿量が溜まってなくても、強い尿意を感じるのが大きな特徴です。過活動膀胱による強い尿意を「尿意切迫感」といい、ガマンができずに失禁することを「切迫性尿失禁」といいます。加齢による身体の変化で起こる疾患ですが、明確な原因がわからないケースもあります。

膀胱炎

膀胱のなかに細菌やウイルスが感染して、炎症が起きる疾患を膀胱炎といいます。症状は頻尿以外にも、排尿時の痛みや残尿感、膀胱の不快感などがあります。膀胱炎は女性に多くみられる疾患でもあり、疲れているときや妊娠・出産後に起きやすいです。

骨盤臓器脱

骨盤臓器脱とは、骨盤内の膀胱や子宮などの臓器が下がる女性特有の疾患です。加齢や出産による骨盤底筋の筋力低下が原因で、ときには膣から臓器が出る場合もあります。骨盤臓器脱の症状は頻尿だけでなく、尿意切迫感、腹圧がかかることによる尿失禁などがあります。

前立腺肥大症

前立腺肥大症とは、膀胱の下に位置する前立腺が大きくなることで、尿道を圧迫し、さまざまな排尿障害を引き起こす疾患です。この症状は特に中高年の男性に多く見られます。具体的な原因はまだ完全には解明されていませんが、男性ホルモンの働きが影響していると考えられています。また、年齢を重ねると、男性ホルモンやその他の性ホルモンのバランスが変化し、前立腺が肥大しやすくなると言われています。

心因性頻尿

心因性頻尿は、精神的な問題が原因で頻繁に尿意を感じる疾患です。ストレスや不安を抱えているときに頻尿が起こることがあり、尿意を感じても実際には尿が出ない場合もあります。

糖尿病

糖尿病の患者さんは血糖値が高いため、喉が渇きやすくなり、水分摂取が増えて頻尿になることがあります。さらに、血糖コントロールがうまくいかないと、腎臓が血液中のブドウ糖を水分と共に尿として排出しようとするため、頻尿が引き起こされます。

子宮筋腫

子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍で、周囲の臓器に影響を与えて頻尿を引き起こすことがあります。他にも強い生理痛や経血の増加などの症状がみられます。良性の腫瘍といえども、不妊や流産の原因になることもあるため、注意が必要です。

頻尿の対策

小さなショッピングカートにトイレットペーパーが4つ積まれている

頻尿の原因について理解したうえで、どのような対策があるのかを説明します。

医療機関で診察してもらう

頻尿の原因は数多くあるため、まずは医療機関に行って診察を受けることが大切です。頻尿は普段の生活だけでなく、疾患が原因で起こっている可能性もあるので、なるべく早めの受診が望ましいです。医師から正しい対処法を聞き、早期の治療を目指しましょう。

利尿作用のある飲み物を飲まない

生活習慣の改善として、利尿作用のある飲み物は控えるようにしましょう。とくに寝る前にコーヒーや緑茶を避けることで、夜間頻尿の対策にもなります。同時に水分をとりすぎている人は、摂取量の見直しをしてみましょう。普段どのくらいの量を飲んでいるのかがわかるように、記録をとってみるのもおすすめです。

身体を冷やさない

身体を冷やしすぎると熱や水分が放出されなくなるので、なるべく暖かい格好で過ごしましょう。冬場はとくに冷えるため、靴下や上着などの準備をしておくことが大切です。夏場ではクーラーの冷気で身体を冷やさないように、温度の下げ過ぎには注意しましょう。

骨盤底筋のトレーニングをする

尿道を締めるはたらきのある骨盤底筋のトレーニングは、頻尿や尿もれの予防が期待できます。具体的な方法はシンプルで、自分のラクな姿勢で肛門と膣を閉める・ゆるめるを繰り返します。立った状態や座った状態でも行えるため、どこでも気軽にトレーニング可能です。ぜひスキマ時間を使って実施してみてください。

ストレスを溜めないようにする

緊張したときは、深呼吸や軽い運動、面白い動画を見るなどして、できるだけ緊張を和らげることをおすすめします。また、ストレスが溜まっているときは、大声を出したり、自分の好きなことをすることでストレスを発散するのが効果的です。

外出時にトイレの位置を確認する

外出時にトイレの場所を確認していないと不安になり、余計に尿意を催すことがあります。どこにトイレがあるのかを事前に確認しておくだけで安心できます。

早期の対策で頻尿を予防しよう!

トイレの男女マーク

頻尿には複数の原因があり、ときには思わぬ疾患が関係していることもあります。また徐々に症状が進行すると、日常生活にも大きな支障をきたす危険性もあります。「最近トイレが近いかも……」と不安に感じたら、なるべく早めの対策を心がけましょう。

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