年をとると、親の介護が心配になることも増えてきますね。自分の親が高齢になってきたと感じると、「親が介護施設に入ることを考えた方がいいのかな?」と思うこともあるでしょう。
実際、介護施設に入るタイミングはいつが良いのか悩みますよね。親がまだ自宅で暮らしたいと思っているけど、家族の間で意見が分かれていることもあるでしょう。
そこで、考えてほしいのが、次のポイントです。
まず、親が介護施設に入るタイミングはいつが良いのか、その目安を知ることです。そして、親が施設に入りたくないと言う場合、どう対処するかも大切です。また、入居費用についても把握しておくことが必要です。
ご本人や家族との意思疎通を大切にし、最善の選択をするためには、入居のタイミングを考えておくことが重要です。
目次
介護施設は何歳から入れる?
老人ホームに入居するには、一般的には60~65歳以上が条件です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなどの介護保険施設では、65歳以上が基準となっています。
しかし、民間の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、年齢の条件が異なる場合もあります。入居を検討する際には、施設ごとに条件を確認することが大切です。
ただし、がんや関節リウマチなどの特定疾病で要介護認定されている方は、40歳から入居可能な施設も存在します。
介護施設への入居を考えるタイミング
老人ホームへの入居を考えるタイミングは、さまざまです。例えば、介護者の身体的、精神的な疲労が極限に達したと感じた時や、周りに介護できる人がいないために不安や危険を感じたとき(転倒や誤飲など)、在宅での生活が厳しく感じたときなどが挙げられます。
その他にも、本人が不安を感じたり、将来の安心を考えたりするときも、入居を検討するタイミングとして考えられます。
個々の状況によって異なりますが、在宅での生活に限界を感じたときが大きな転機です。
ただ、多くの方は住み慣れた自宅での生活を望んでいます。しかし、年齢を重ねると共に親の介護が増えることもありますし、介護者自身も体力の衰えや負担の増加を感じることが少なくありません。
そして、行動を起こそうとしても、希望する施設がすぐに入居できないこともあるのが現状です。高齢化に伴い、施設の利用者が増えているためです。
一般的には、80代が入居者の中心ですが、希望や家族の状況によっては、年齢に関係なく入居を選ぶ人もいます。例えば、自立していても配偶者の介護が難しい場合や、片方が要介護認定されていれば、入居が可能な施設もあります。
自分の現状や将来に不安を感じたら、元気なうちに行動を起こすのもいいでしょう。老人ホームへの入居を検討するタイミングは、人それぞれの状況や考え方によって異なりますが、安心して暮らせる場所を見つけるためには、余裕のある時期に家族で将来の暮らし方について話し合い、準備を進めておくことが大切です。
介護施設を探し始めるタイミング
介護施設は、入居したいと思ったタイミングですぐに入居できるとは限りません。一般的には、申し込みから入居までに1~2カ月かかるとされています。加えて、情報収集や見学、検討に時間をかけると、少なくとも3カ月程度の準備期間が必要です。
特に公的施設である特養や老健は人気があり、入居待ちが発生することが想定されます。そのため、入居を希望する前に施設探しを始めることが大切です。
また、施設を検討する際には、要介護度の変化や認知症の発症によって退居を余儀なくされることもあることに注意が必要です。将来の健康状態も考慮しつつ、早めに施設探しを始めておくことが安心です。
入居の検討は早めの方が良い
老人ホームへの入居を検討するのは早い方が良いと言われています。介護が必要になってからではなく、元気なうちに自分でホームを検討し、入居先を決めておくことが重要です。
その理由は以下の通りです。
- 親の老人ホーム探しの苦労を経験した人が、同じ思いを子どもにさせたくない。
- ひとり暮らしの場合、早い段階での入居を考える。
- 持病がある場合は、早めの入居で安心感を得たい。
- 夫婦での入居を希望する場合、終の棲家を見つけておきたい。
- 資産の整理や、最後まできちんと看てくれる場所を探したい。
介護が急に必要になると、見学や施設探しが難しくなる場合があります。病院の退院期限が迫っており、ゆっくりと選ぶ時間がない状況下で決めることになるかもしれません。
その結果、入居後に要望との不一致が生じ、別の施設に移るという問題が起こる可能性もあります。高齢者が頻繁に移動することは、心身に負担をかけることになりますので、慌てずじっくりと準備をすることが重要です。
検討する施設の種類
自立状態にある方が入居できる老人ホームは民間経営の施設が多いです。それぞれの施設には入居の条件や特徴が異なるので、詳細を確認して選ぶことが大切です。
有料老人ホーム
有料老人ホームには、介護付き、住宅型、健康型の3つの形態があります。健康型有料老人ホームでは介護を必要としない自立した方が入居できますし、住宅型や介護付き有料老人ホームでも自立状態の方を受け入れているところもあります。
民営運営の有料老人ホームは、施設ごとに特徴が異なります。中には図書館や温泉などの娯楽施設が充実しているところもありますので、気になる施設を探してみると良いでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、主に自立から要介護度が低い方を対象にしています。バリアフリー構造の建物で安全で快適な生活を提供し、安否確認や生活相談サービスも提供されます。
シニア向け分譲マンション
シニア向け分譲マンションも、高齢者が快適に暮らせるようにバリアフリー設計されています。共有設備が充実しており、介護サービスは提供されませんが、購入したマンションの一室を資産として残すことができます。
次に、要介護の認定を受けた方が入居できる施設について紹介します。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(特養)は、要介護3以上かつ65歳以上の高齢者が入居対象となります。24時間介護サービスを受けられる公的施設で、介護保険が適用されるため費用は比較的安価ですが、入居までに時間がかかることがあります。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(老健)は、要介護1~5の高齢者(65歳以上)が入居対象です。主な役割はリハビリテーションで、在宅復帰を目指すための施設です。入居期間は原則3カ月です。
有料老人ホーム
有料老人ホームには、要介護者が入居可能な施設があります。住宅型または介護付き有料老人ホームが該当し、生活支援や介護サービスを提供します。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、主に要介護度が低い方を対象としています。介護サービスは提供されませんが、特定施設入居者生活介護の指定を受けた場合は24時間の介護サービスがあります。
グループホーム
グループホームは、認知症の診断を受けた要支援2以上の高齢者(65歳以上)が入居対象です。家庭的な雰囲気で共同生活を送り、認知症の進行を防ぐためのサービスが提供されます。
介護施設を検討するときのポイント
資産を確認する
老人ホームへの入居を検討する際には、資産を確認して予算を決めることが肝要です。老人ホームごとに入居条件や費用が異なるため、自身の財政状況を把握することは重要です。
まずは、以下の項目を確認しましょう。
- 預貯金
- 建物や土地などの不動産
- 株式や債券などの有価証券
- 退職金
- 保険金(満期を迎えるもの)
- 自動車や家具などのその他の売却可能な資産
また、今後の収入についても確認します。
- 公的年金
- 個人年金
- 有価証券の配当
- 不動産収入
- 利子や配当金
不動産の場合は、立地や築年数、構造によって売却価格が異なるため、相場を把握するために不動産業者などと相談することが重要です。また、資産価値が変動するものについては、慎重に見積もることが必要です。
老人ホームでの入居には、初期費用や月額利用料のほかに、急な医療費や冠婚葬祭、娯楽費などの予算も考慮に入れましょう。さらに、入居期間も想定して計画することが重要です。前述した「検討を始めるのはいつ頃から?」によって変わるため、利用目的に合わせて検討しましょう。
希望する立地の検討
- ご本人や家族が住み慣れた地域や、家族が住んでいる地域に近い施設を選びたいという希望があります。
- 家族の面会や緊急時の駆け付けが容易である立地を選ぶか、本人の意思を尊重するかを家族で相談します。
資産と予算の確認
- 資産の確認を行い、老人ホームでの居住費や介護にかけられるお金を把握します。
- 費用面での検討可能地域の目安を見積もり、立地選びの参考にします。
入居後の生活イメージ
- 入居後にどんな生活を送りたいかを考えます。
- 毎日を活動的に過ごしたい、料理を楽しみたい、趣味を楽しみたいなどの希望を具体的にイメージし、それに合った施設を探します。
家族への希望や意思の伝える
- 本人の希望や意思を家族に伝えておくことで、家族が老人ホームを探す際に役立ちます。
- 家族が本人の希望を理解していれば、入居先を絞り込みやすくなります。
これらのポイントを踏まえ、老人ホームの入居を検討する際には、早めに準備を行うことが重要です。
介護施設見学のポイント
介護施設を見学する際のポイントを整理しました。
見学は積極的に行う:
- 希望の介護施設を見つけたら、できるだけ早く見学に行きましょう。入居予定の時期がまだ先でも見学は可能です。
平時の雰囲気を確認:
- イベントなどを見に行くのもいいですが、できるだけ平時の雰囲気を確認することが重要です。居室の清潔さやスタッフの雰囲気、施設のリハビリやレクリエーションの様子などを観察しましょう。
複数の介護施設を見学:
- 「自分がずっと住む家」を探す感覚で、複数の介護施設を見学して比較しましょう。それぞれの特徴やサービスを比較することで、自分に合った施設を見つけることができます。
窓口に連絡する:
- 介護施設を紹介している窓口に連絡をして、自分の要望を伝えると、該当する施設を探してもらえたり、複数の施設を1日で見学できるようセッティングしてもらえたりします。
お昼どきの見学を検討する:
- お昼どきの見学では、施設の昼食を試食させてもらえることもあります。気軽に相談してみてください。
以上のポイントを踏まえて、介護施設の見学を積極的に行い、自分や家族にとって最適な施設を見つけることが大切です。
介護施設は早めに検討を
入居できる年齢は60~65歳ごろからですが、重要なのは何歳から入居できるかではなく、どんな暮らしを望むかです。自分のライフスタイルや将来の希望を考えることが重要です。
介護施設にはさまざまな種類があり、施設ごとに特徴が異なります。失敗を避けるためには、早めに介護施設について理解を深め、自分に適した施設を見つける必要があります。
健康なうちから介護施設へのシミュレーションを行い、将来の暮らしを想像してみましょう。自分のニーズや希望に合った施設を見つけるために、早めに探し始めることが重要です。
入居までには時間がかかる場合もあります。希望の施設に入居するためには、早めに検討を始めることが重要です。
早めの検討をすることで、自分や家族が安心して入居先を選ぶことができます。将来のことを考えて、早めに行動を起こしましょう。