老人ホームの費用はどれくらい?初期費用や月額相場など

老人ホームや介護施設の利用を考えるときに、気になるのは入居にかかる費用や料金ですよね。

この記事では、老人ホームや介護施設に入居する際の費用について、一般的な情報をお伝えいたします。もちろん、具体的な金額は施設によって異なりますので、詳細な情報は各施設に直接お問い合わせいただくことが重要です。

老人ホームの料金は大きく分けて2つ

ベンチに座る男

老人ホームには、「入居一時金」と「月額利用料」の2つの費用があります。これらの費用を理解しておくことで、自分に合った施設を見つけやすくなりますし、予算の範囲内で生活できるかどうかも見極めやすくなります。

入居一時金

「入居一時金(入居金)」は、老人ホームに入居する際に、一定期間分の家賃を前もって支払う費用のことです。

老人ホームでは、家賃の支払い方法に「入居一時金方式」と「月払い方式」があります。入居一時金方式は、一定期間分の家賃をまとめて前払いする方法で、これにより毎月の支払いを抑えることができます。ただし、まとまったお金が必要となるため、入居へのハードルが少し高まります。一方で、月払い方式は毎月定額の家賃を支払う方法で、入居へのハードルが下がりやすいですが、毎月の負担がそれなりにかさむことも考慮が必要です。

入居一時金を支払うと、毎月の費用を抑えることができますが、まとまったお金が必要となります。また、入居一時金は施設ごとに償却期間が設定されており、通常は5〜15年程度です。償却期間が終わる前に退去する場合は、未償却分が返還されることが一般的ですが、ホームによっては初期償却として入居時に償却されることもありますのでこの点は確認しましょう。

月額利用料

月額利用料の中身は、「家賃」と「管理運営費(管理費)」などが含まれます。

ホームや介護の必要度、支払いのスタイルによってバラつきがありますが、大体月に12万円から40万円ぐらいが一般的です(中には100万円を超える施設もあります)。

月額利用料の内訳は、以下の通りです。

【例】

  1. 家賃:自分の部屋や共用スペースの利用に対する費用。建物の立地やグレード、部屋の広さなどで設定されています。50代の方にとっては、快適な空間を選ぶことが、新しい生活の一環となりますね。

  2. 管理費:光熱費や水道代、設備のメンテナンス費用、事務手続きにかかる費用、スタッフの給与などが含まれています。これらの費用が月々どれくらいかかるかを知っておくことは、予算を考える上で重要ですね。

  3. 施設介護サービス費:食事や入浴、排泄などの介助に関する費用です。介護保険が一部助成されるため、自己負担が発生します。50代の方が感じるところでは、将来の健康状態を考慮してこの費用を確認することが大切です。

  4. 介護保険対象外のサービス費(自費サービス費):趣味や娯楽、美容にかかる費用が含まれます。自分のライフスタイルに合ったサービスを考え、余裕をもって生活するために注意が必要です。

  5. 追加サービス費(上乗せサービス費):送迎サービスなどが基本範囲を超える場合に発生する追加費用です。50代の方が考えると、将来の外出頻度や移動の必要性を考慮しておくと良いでしょう。

  6. 食費:1日3食30日分の食事代が含まれます。ホームごとに差があり、50代の方にとっては食事の質や種類も気になるポイントですね。

  7. 日用品費:歯ブラシや石けんなどの消耗品が含まれます。自分の使い方や好みに合わせて、必要なアイテムを確認することが重要です。

  8. 医療費:訪問診療や歯科診療が必要な場合にかかる医療費です。健康状態を考え、医療サポートに対する予算を把握しておくと安心です。

日用品費は個人差がありますので、自分の生活スタイルに合わせて必要なものを考えると良いでしょう。新しい生活に向けて、細やかな計画が大切ですね。

初期費用が不要な老人ホームも

初期費用は、入居時に必要な入居一時金や保証金を含んだもので、気になるポイントです。施設によって初期費用があるかどうかは、そのホームの形態や背景に大きく影響されます。

高齢者施設には、介護保険の指定を受けていて、社会福祉法人が運営する「介護保険施設」と、主に民間企業が運営する「有料老人ホーム」があります。

民間の有料老人ホームには入居時に初期費用が必要な場合があるようです。これは施設ごとに異なるので、入居を検討する際には確認が必要です。

2014年度の全国有料老人ホーム協会の調査によると、新設された有料老人ホームのうち、15.9%が初期費用を設定しているそうです。一方で、1割以上のホームは初期費用が不要です。

特養は初期費用が不要

特別養護老人ホーム、通称「特養」は、入居一時金がかからない施設です。

特養には他の初期費用も発生しないので、お金に余裕がない場合でも入居が可能です。ただし、入居条件として「要介護3以上」などが求められます。特養は非常に人気があり、空きが出るまでの待ち時間がかかることが一般的で、入居するのはなかなかハードルが高いです。

老人ホームの費用の相場

青い椅子

施設ごとにかかる費用は多岐にわたります。老人ホームには民間施設と公的施設の2つの種類があり、その費用は大きく異なります。以下は施設ごとの料金相場の一例ですが、これはあくまで目安であり、金額を保証するものではありませんので、注意が必要です。

施設の種類初期費用(入居一時金・入居金または敷金)月額利用料
民間施設健康型有料老人ホーム0~数千万円10〜15万円
〈自立型〉住宅型有料老人ホーム0~数億円8〜30万円
〈自立型〉介護付き有料老人ホーム0~数億円15〜35万円
〈自立型〉サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)0~数千万円5~25万円
〈介護型〉住宅型有料老人ホーム0~数億円10〜30万円
〈介護型〉介護付き有料老人ホーム0~数億円15~40万円
〈介護型〉サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)0~数百万円10~40万円
公的施設〈自立型〉ケアハウス(軽費老人ホーム)0~30万円6〜15万円
〈介護型〉ケアハウス(軽費老人ホーム)0~数百万8〜20万円
特別養護老人ホーム不要5〜15万円

これらの施設は種類によって入居条件が異なりますので、費用だけでなく、入居条件もよく確認することが重要です。費用が低い施設を希望する場合でも、条件次第では入居が難しいこともあるため、慎重に検討することが必要です。

民間施設と公的施設の費用の違い

薬や聴診器などの医療機器が並べられている

先ほどの表に出てくる施設は、大まかには民間施設と公的施設に区分できます。公的施設は、国や地方公共団体、社会福祉法人などが運営していて、民間運営の施設は、企業が運営しています。

また、公的施設は初期費用が比較的低い傾向があります。これは入居時にかかる負担が軽減されるという点で、入居を検討する上での利点です。

一方で、民間施設は企業が運営しているため、サービスや施設のクオリティが高い場合があります。ただし、その分初期費用や月額費用も一般的には高めです。自分に合ったライフスタイルや利用条件を考慮しながら、公的施設と民間施設の費用の違いを検討するのが良いでしょう。価格だけでなく、提供されるサービスや環境もよく比較して、将来にわたる生活を安心して選択できるようにしましょう。

家賃

居住費(賃料)について、公的施設と民間施設では異なるポイントがあります。

まず、公的施設、例えば特別養護老人ホームやケアハウスでは、法律で料金が定められているため、同じ客室タイプであれば、どの施設でも金額が同じです。収入に応じた自己負担限度額もあり、高額な出費になる心配が少ないのも特長です。公的施設は一般的に金額が抑えられているため、費用面で安心感があります。

一方で、民間施設では居住費が施設ごとに異なります。一般の賃貸住宅と同じように、立地や日当たり、間取りなどの条件が影響します。また、介護サービスの内容や充実度によっても費用が変わります。民間施設はサービスに特長があり、快適な生活が期待できる反面、その分費用も変動します。

食費

食費についても、介護保険施設と民間施設では違いがあります。

まず、介護保険施設では、1日3食分の食費が必要です。「欠食」と呼ばれ、食事を取らなかった場合でも3食分請求されることが一般的です。ただし、何らかの事情で長期間食事を取らないことが分かっている場合は、その分の食費については請求を停止することができます。居住費同様、食費にも自己負担限度額が設けられているので、高額な請求にはなりません。

一方で、民間施設では食費の決まり方が施設によって異なります。定額プランがあるところもありますし、1食ごとに詳細に設定されている場合もあります。介護保険施設とは異なり、欠食については料金が請求されないことが多いです。民間施設には、豪華な食事や美味しい料理を提供するところもあり、その場合は料金が高くなりますが、食事の充実度や満足度も高いものとなるでしょう。自分の好みや生活スタイルに合った施設を選ぶ際に、食事面も重要なポイントとなります。

管理費

管理費は、ホームや施設の共用部分を維持するための費用や、様々なレクリエーションを行う際の費用、そしてスタッフの給与などに充てられる費用のことを指します。有料老人ホームなどの民間施設では、この管理費が利用料金に含まれていることがよくあります。一部の施設では「運営費」として請求されることもあります。

ただし、こうした管理費や運営費の中身は、施設ごとに異なります。各事業所ごとに、どのようなサービスやイベントが提供されているか、どのような人員が働いているかなどが影響しています。だからこそ、料金に含まれるサービスやサポートが気になるところです。選ぶ際には、自分の希望やライフスタイルに合った施設を見つけるために、細かい点まで確認してみてください。

サービス加算

サービス加算とは、施設が提供するサービスや設備、スタッフの人員体制などによって、基本の施設介護サービス費に上乗せされる金額のことを指します。

この加算の対象となる項目は法令で定められていますが、各施設が提供するサービスや設備、スタッフの配置などは施設によって異なるため、その結果、加算金額も施設ごとに違います。つまり、一律の金額ではないので、選ぶ際には慎重に確認することが大切です。

例えば、特定の施設では特有のサービスや充実した設備がある分、サービス加算が高額になることも考えられます。逆に、自分に必要なサービスが他の施設に比べて少ない場合、加算が低くなることもあるでしょう。要するに、加算金額は施設の個性や提供サービスによって大きく変動するので、入居を検討する際にはしっかり確認して選ぶと良いですね。

上乗せ介護費

上乗せ介護費は、有料老人ホームなどの施設が請求できる費用です。介護保険法では、一定のルールに基づいて職員を配置することが求められています。例えば、入居者3人に対して1人の看護職員や医師が介護職員を配置するといった具体的な割合が決まっています。

しかしながら、施設がこの基準を超えて、より多くの介護職員を配置する場合があります。この場合、施設が提供するサービスやケアの充実度が高まり、利用者にとっては安心感が増すこともあります。ただし、その分、上乗せ介護費が発生し、一定の負担が入居者に求められることがあります。

日常生活費

日常生活費とは、日用品や嗜好品にかかる費用を指します。普段使うものや楽しみにしているものにかかるお金ですね。これらの費用は、原則的には個人が自己負担することが一般的です。

ただし、介護保険施設ではオムツ代が介護給付に含まれており、利用者がその負担をする必要がありません。介護給付がサポートしてくれるので、経済的な安心感があります。一方で、民間施設ではオムツ代も利用者の自己負担となることがあります。これには注意が必要ですね。

医療費

医師が常勤していない施設では、健康管理は協力医療機関の嘱託医が担当することが一般的です。嘱託医が専門的な処置が必要と判断した場合、他の医療機関を受診する必要が生じることもあります。

こうした医療的な処置に伴う費用、つまり医療費や薬代、入院費などは、基本的にはご自身での負担が必要となります。医療サービスを受けるたびに、その都度支払いが発生する仕組みです。

費用を抑える方法

テーブルの上にコインを積み上げる人

費用の負担を軽減する方法として、介護保険サービスによる医療費控除などの補助制度を上手に利用することがおすすめです。

医療費控除

医療費控除は、年間で一定以上の医療費を支払った場合に、その超過分を所得から差し引くことができる仕組みです。介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護保険施設では、医療費や介護保険サービス費、食費、居住費、おむつ代が控除の対象になります。

特養に入居する場合、これらの費用を医療費控除として差し引くことで、負担を軽減できます。将来に備え、このような制度を積極的に利用して、安心して生活できるようにしましょう。

高額サービス費支給制度

高額サービス費支給制度は、介護保険サービス費が月々の上限を超えた場合、その超過分が払い戻しになる制度です。

上限額は、収入によって異なります。具体的には、所得が高い方ほど上限が設けられ、支給される高額サービス費も多くなります。自身の収入に合わせて、制度を理解しておくことで、無駄な出費を抑え、節約にもつながります。

介護保険負担限度額認定制度(特定入所者介護サービス費)

介護保険負担限度額認定制度、いわゆる「特定入所者介護サービス費」は、所得や預貯金が少ない方が介護保険施設に入所する際に、食費と居住費の自己負担が軽減される制度です。

この制度では、所得に応じて自己負担の上限が設定されています。上限を超える分は「特定入所者介護サービス費」として、介護保険から給付されます。

限度額は所得だけでなく、施設の種類や居室のタイプによっても変わります。ただし、特例減額措置を活用すれば、対象外であっても、家族が施設に入所している場合に、食費と居住費の負担が厳しいと認められた場合には支援を受けることができます。

社会福祉法人等利用者負担軽減制度

社会福祉法人等利用者負担軽減制度は、所得が低く経済的に困難な状況にある方々が、特別養護老人ホームを含む介護サービスを利用する際に、介護費用の自己負担を4分の3(老齢福祉年金受給者は2分の1)に軽減するための仕組みです。

50代の私たちが将来に向けて考えると、このようなサポートがあることは安心材料ですね。ただし、利用するには事業所が制度を活用している社会福祉法人である必要があり、それを確認するためには自治体の福祉課に問い合わせが必要です。

手続きは自治体への申請や確定申告が必要で、自治体によっては独自のサポートも提供されていることがあります。ネットで情報を収集するだけでなく、分からないことは直接窓口で聞いてみると良いでしょう。

利用者負担軽減措置

利用者負担軽減措置は、介護施設を運営する社会福祉法人が活用を申告していると、経済的に困っている方は介護費用に対して25%の軽減を受けることができます。

この制度を利用することで、介護費用が4分の3に軽減され、経済的な面でもかなり助かります。ただし、利用を考える前には、自治体の福祉課に問い合わせて、希望する施設でこの制度が利用可能かを確認しておくことが重要です。

老人ホームの費用は幅が広い

高齢者施設の費用は、施設のタイプによってかなりバラついています。例えば、公的な特別養護老人ホームなら月に10万円以下で利用できるところもある一方、高級な民間施設では月額費用が30万円、入居金が数百万円となることもあります。

公的な施設はリーズナブルな印象がありますが、人気が高くて入居が難しいことが課題です。民間の施設でも、予算に合わせて選べる良質な場所があるので、それらを探すことも大切です。

また、費用を抑えるためには、減額制度や助成制度などを積極的に活用することが重要です。これらの制度があることを知ることで、予算の範囲内で生活できる良い選択ができるでしょう。

老人ホームへの入居やお金のやりくりについて、これらの情報を踏まえて検討してみることをお勧めします。

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