老人ホームでの生活になると、お風呂のことが少し心配になる方もいるのではないでしょうか。自分で入浴できる元気があるけれど、介護スタッフの手を煩わせたくないとか、逆にお風呂に自由に入れないイメージがある方もいるかもしれません。お風呂にどのくらいの頻度で入れるのか、どんな感じで入浴するのか、そしてどんな浴室なのかが気になりますよね。
今回は介護施設のお風呂について、詳しく解説します。
介護施設での入浴回数や時間帯
老人ホームでは、お風呂に入る回数が国の基準で週に最低でも2回と決まっています。
介護付有料老人ホームだと、国の基準をクリアした上で、各ホームが独自に基本回数を決めていることがあります。中には週3回以上を提供しているところもあります。
入浴回数は施設の案内や重要事項説明書に書いてあるので、入居する前に確認しましょう。入浴できる回数を知っておくと安心です。
そして、入浴のタイミングも施設によってバラバラです。午前中から夕方にかけて、老人ホームでは様々な時間帯で入浴ができるように工夫されているところが多いです。お風呂の数はそれほど多くないので、みんなが順番に利用していくシステムです。
施設によっては、事前に相談すれば、自分が希望する時間帯での入浴ができることもあります。例えば、「昼食後」や「16時ごろ」など、都合に合わせて入浴時間を指定できることがあります。
介護施設の浴室の種類
老人ホームの浴室は、大まかに4つのタイプに分かれます。
大浴場
「大浴場」は、まるで銭湯のような雰囲気があります。老人ホームの大浴場は、銭湯よりも手すりが多く取り付けられたり、滑りにくい素材の床になっていて、高齢者にやさしいつくりになっています。お風呂好きなら、温泉やジャグジーがある施設もおすすめです。他の利用者と一緒に入ることができるので、旅行や銭湯にいるような気分が楽しめます。個浴
「個浴」は、一般家庭の浴室と似た雰囲気です。他の人を気にせず、自分だけのペースで入浴できるのが個浴のいいところです。大浴場が苦手な人や、他人に見られたくない人にもおすすめです。介助が必要な方も広めの洗い場があるので、安心して入浴できます。機械浴
「機械浴」は、要介護度が高い人でも安心して入浴できるタイプです。寝たまま入浴できるストレッチャー型や、車椅子型、リフト型があります。寝たきりの方でもしっかり温まることができるし、車椅子の方も安心して入浴できます。浴室付き居室
「浴室付き居室」は、部屋に浴室が備え付けられているタイプです。通常の施設では入浴の曜日や時間帯が制限されることがありますが、こちらなら自由度が高いです。介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などで浴室付きの居室があります。自分のタイミングで入浴することができます。
介護施設のお風呂のチェックポイント
老人ホームを選ぶ際、お風呂は大事なポイントです。
まず、見学をする際は、お風呂を見学したい旨を事前に伝えると安心です。
脱衣所も見逃せません。見学時には浴室だけでなく、脱衣所もチェックしましょう。特に注意すべきは、ヒーターやエアコンが設置されているかどうかです。寒い脱衣所は、着脱が不快だけでなく、体調にも影響する可能性があるからです。心地よく入浴するためには、脱衣所の環境も重要です。
清潔さもポイントです。浴室や脱衣所はカビが発生しやすく、手入れが行き届いていないと不潔になってしまいます。見学時には髪の毛や水滴がないか、掃除が行き届いているかを確認しましょう。特に大浴場など、複数の入居者が利用する場所はゴミがたまりやすいです。お風呂が清潔に保たれているかどうかは、その施設のホスピタリティが感じられる要素でもあります。
お風呂の状態を確認することで、入居後に安心して利用できるかどうかが分かりますね。しっかりと見学して、老後の生活を安心して迎えられるようにしましょう。
入浴の効果
高齢者の入浴は、さまざまな良い効果が期待できます。
まず、身体を清潔に保つことが大切です。高齢になると肌が弱くなることがあります。特にオムツを使用している方や拘縮の方は、肌が悪化しやすいので、注意が必要です。清潔な状態を保つことは、皮膚だけでなく心の健康にもつながります。不潔な状態だと人との交流も億劫に感じやすいからです。人間らしい生活を送るためにも、清潔を大切にしましょう。
そして、入浴にはリラックス効果があります。リラックスしたい時や気分転換が必要な時に入浴すれば、心地よい疲労感が得られます。これが安眠につながる効果も期待できます。日々のストレスで感じる疲れも、入浴でリフレッシュすることができるはずです。
また、入浴は疲労回復にも効果があります。血行が良くなり、新陳代謝がアップすることで身体にたまった老廃物や疲労物質を排出できると言われています。入浴後には疲れが取れ、身体のコリや痛みが和らぐことがあります。特に拘縮している方は、入浴中に可動域を広げるストレッチが効果的です。血流が良くなることで痛みも和らぎ、ストレッチもしやすくなります。
介護施設での入浴時の介助
介護施設では、個々の状態に合わせて声かけや介助が行われています。入浴の際も、例えば頭や身体を洗うのが難しい方には、介護職員さんが手助けをしてくれます。
それに、身体の機能が低下していて浴槽をまたぐのが難しい場合には、介護用品を使ったりして入浴のサポートがされます。介護職員さんのサポートがあることで、安心して入浴できる環境が整っています。
高齢者は肌が乾燥しやすいですが、自分で保湿クリームを塗れないという場合は、入浴後に保湿剤や軟膏を使って身体をケアしてくれます。普段、おうちで愛用している保湿クリームがあれば、施設に預けておくと良いでしょう。
介護施設の入浴方法は事前に確認しよう
入浴は、清潔さを保つだけでなく、気分転換や精神面の安定にもつながる大切な行為です。
まだ元気で自分のことは自分でできるという方であれば、自由にお風呂に入れることは、自然なご希望だと思います。自分のペースでお風呂に入ることがリラックスできると、心地よい時間を過ごすことにつながります。
ただし、年齢を重ねていく中で、または病気や怪我によって、介助が必要になる場面が誰にでも訪れるものです。介護が必要になった時にお風呂での入浴のサポートがどのように行われるのか、入居を希望する施設の入浴設備を、しっかりと確認しておくことが重要ですね。