フレイル って知ってる?気づかないうちに虚弱は始まっているかもしれません

突然ですが、以下の項目が当てはまる方はいますでしょうか?

  • 1年間で意図しない体重の減少が2~3kg以上ある
  • 疲れやすく、何をするのもめんどくさい
  • 1mを歩くのに1秒以上かかる
  • 握力が低下している(男性26kg未満、女性18kg未満)
  • 定期的な運動・スポーツの習慣がない

これらの5つのうち3つにあてはまるとフレイルの可能性があります。

フレイルって何?

男性が頭を抱えている

フレイル(虚弱)とは、上記の項目のように年齢を重ねるとともに心身の活力が低下し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの危険性が高くなった状態のことで、要介護の前段階とも言えます。具体的に心身の低下とは、運動機能や認知機能のことを言います。上記の項目が1つや2つ当てはまる場合はフレイルの前段階であるプレフレイル(前虚弱)となります。フレイルとは健康と要介護の狭間の状態ということになります。フレイルは身体的な機能の低下だけではなく、移動能力、バランス、気力の低下など精神的や社会的といった広範囲要素が含まれます。

フレイルになるとどうなる?

フレイルの状態になると、風邪をひいたときにこじらせて入院したり、ストレスに弱くなったりと死亡率の上昇が起きます。風邪が肺炎までこじれたり、転倒した際に打撲や骨折をする可能性もあります。フレイルが進むと、併存症という、心臓疾患、高血圧などいろいろな病気との併発が考えられます。

なぜフレイルになる?

5つの項目でチェックしましたが、フレイルの原因をもう少し詳しくご紹介します。

  • 体力・筋力低下
  • 判断力・認知能力低下
  • 活動性低下
  • 社会交流機会の減少
  • 食生活バランス低下
  • 体重減少
  • 疲れやすい

このように、身体的な衰えだけでなく、社会生活などもフレイルの要素となることが分かります。外に出るのもおっくうになり活動量が低下し、筋力や体力が低下すると人と接する機会も減少しさらに社会参加から遠ざかるというフレイルの悪循環に陥ってしまいます。

フレイルチェック

筋力の衰えなどからくるフレイルですが、自分で簡単にフレイルチェックができます。それが「指輪っかテスト」です。

指輪っかテスト

  1. 両手の親指と人差し指でひとつの輪っかを作ります
  2. ふくらはぎの一番太い部分を輪っかで囲みます

このときに左右の指がつかずに囲めないとサルコペニアの危険性が低く、輪っかと足に隙間ができるとサルコペニアの危険性が高いとされています。サルコペニアとは、筋力の低下、易疲労性や活力の低下を引き起こす症状のことをいいます。

指輪っかテスト以外にもチェックシートを使うものなどフレイルチェックは自分で手軽にできます。また、フレイルチェック事業は全国で展開され、市民を対象にフレイルチェックを行ったり予防講座を開催しています。ぜひお住いの地域のフレイル事業を調べてみてください。

【参考】
▶神奈川県では自治体でフレイルチェックを行っています。

フレイルの予防

フレイルを適切に予防することは要介護状態の予防につながります。いつ始めても遅すぎることはありません。予防だけでなく状況を改善することも可能です。健康寿命を延ばして生き生きと過ごすために、ここではフレイル対策をいくつかご紹介します。

栄養・体力・社会参加の3つは、互いに影響しあう大きな柱となっています。「食べる・動く・つながる」をライフスタイルに取り入れて生活することが大切です。

栄養(食べる)

サラダボウル

低栄養を予防するためにはバランスの良い食事をとりましょう。1日に3回、パン、麺などの「主食」、肉・魚・卵・大豆製品などを使ったメイン料理の「主菜」、野菜・きのこ・いも・海藻などを使った小鉢・小皿料理の「副菜」をそろえるて食べることがフレイル対策につながります。高齢者はタンパク質が不足しがちなので、筋肉の素となるタンパク質(肉・魚・大豆製品)を積極的にとることもポイントです。充分な水分も忘れずにとりましょう。

運動(動く)

ランニングをする男性

高齢になると筋肉量が低下し、外に出たり人との交流が億劫になったりと生活に影響します。体力を維持することがフレイル予防になります。無理のない範囲で継続して運動することで死亡のリスクを減少させることもできます。また、筋力を維持することは日常生活での基本的動作能力を回復させたり転倒による骨折や寝たきりを予防する効果もあります。

社会参加(つながる)

手を取り合う二人

実は社会とのつながりがなくなることがフレイルの入り口ともいわれています。配偶者や友人との死別などをきっかけに孤独になり閉じこもってしまい、食欲低下、筋力減少などの症状につながります。

具体的には、週1回以上人との交流を持つことが望ましいです。同世代だけでなく様々な年齢の人とのつながりもフレイル予防には効果的です。自分とは異なる背景を持つ人との交流が多いほど抑うつになりにくく認知機能低下も起こりにくいという研究結果もあります。

フレイル対策に趣味のクラブに入会したり地域のボランティアに参加してみましょう。ただし社会参加は、受動的に行うのではなく、自らの意思で自発的、主体的に行うことに意義があります。無理せず頑張りすぎない程度に人とのつながりを保つことが大切です。

健康に過ごすために

ジョギングする女性

フレイルは要介護の手前の状態ですが、適切な治療や予防に取り組むことで健常に近い状態に改善することや要介護状態の可能性を減らすことができます。「栄養・運動・社会参加」を無理せず生活に取り入れていつまでも自立して前向きな生活が送れるように日常生活を見直してみましょう。

この他にも介護に関するコラムを投稿しています。ぜひ読んでみてください。

▶介護コラム一覧

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